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あの味を思い出す

『いなり寿司』

スーパーに行くとお惣菜コーナーの片隅にいつも置いてある、存在感の薄いやつですが、ときどき家で作ることがあります。油揚げを醤油と砂糖で甘辛く炊いて、酢飯を詰めてね。

あれ、自分で作るとすんごく美味しいですよ。市販のは味が濃すぎますね。

 個人的な好みですが、油揚げは油をしっかり抜いてやや甘めに仕上げ、反対に酢飯は甘くせず酢をきかせたほうが調和が取れて美味しいかなと思います。。。

 

そうそう、いなり寿司といえばニンジンや椎茸、青菜などの具材を混ぜたのをよく見かけますが、僕はどうも好きになれません。なにも入っていないそのままのいなり寿司が僕の中では「いなり寿司」なんです。

 

まだ幼稚園に入る前ぐらいかな、僕は母方のおばあちゃんの家に1人で預けられていました。兄が生死をさまようような病気を患って、入院したからです。

母は病院で兄に付き添い、父は仕事が猛烈に忙しく(そのころ、バブル最盛期でしたからね)、朝早くに家を出て深夜に帰ってくるような人でした。とても小さい子どもの面倒が見られる状態じゃなかった。

そんなわけで、数ヵ月は田舎にいました。

 

関東某県の山奥にあるおばあちゃんの家は、文字どおり田舎といって差し支えない場所にありました。家の裏手は山、表は畑と田圃。最寄りの駅まで歩いて40分。しかも単線で、1時間に1本しか電車は来ない。ヘビやタヌキやイタチと道端で遭遇する。そのぐらい田舎。

 

農家だったせいか、お正月には餅つきもしていましたし、御節料理も全部手作りでした。地域の郷土料理で、切ったとき花柄の模様が出るように作る巻き寿司があり(しかもこれ、海苔ではなくて厚焼きにした卵焼きで巻くんです)、いなり寿司もよく一緒に作ってくれました。

おばあちゃんの炊いた油揚げは、薄味で少し甘め。出汁の香りがする素朴な味で、とても美味しかった。いまだによく覚えています。具材の入っていないシンプルな、俵形のいなり寿司。僕はあれが大好きでした。

 

残念なことに、母も叔母もおばあちゃんから料理を教わったはずなんですが、同じいなり寿司は作れないようです。似たような味ではありますが…

自分で作るときも、幼いころの記憶をたどってあの味を思い出します。

でも、やっぱり同じ味ではない。何かが違うといつも思います。

もう30年以上前の話です、記憶だけで再現するのは無理がありますね。。

 

思い出と一緒に覚えている食べ物って、いつまでも忘れませんよね。

でも、思い出の中に残しておくぐらいがちょうどいい気もします:)